2011年 06月 23日
5/4日〜8/7日までニューヨークのメトロポリタン美術館でやっている、 アレキサンダー・マックイーンの回顧展、『Savage Beauty』を観に行って来ました〜。 数々の名作を残して命を絶ってしまったマックイーンの大回顧展とあって、かなりドキドキ。 セント・マーチンズの卒業制作が話題になって、25歳でジバンシーのメインデザイナーになったり、 ショーでもただ服を作ってみせるだけではなく、その強いテーマ性から飛び出るドラマティックな演出したり。 デビューの頃からデザインが大好きで見続けていたので、その興奮度も半端なく、 メトロポリタン美術館に着いた時には、若干呼吸も荒く血圧も上がり気味でした。 メトロポリタン美術館について、早速マックイーンコーナーに行くなり、目の前の大行列に口あんぐり。。。 他の展示会場を無視して長蛇の列が出来てしまい、地味に一時間ほど並ぶ事になりました。 ファッションに興味のなさそうなおばちゃん&おじちゃんはもちろん、 とがったマックイーンファッションを着て敬意を表し、溢れ出るアドレナリンを放出しながら これから見れる素敵な服はどんなものか?と騒いでいるファッション関係者もわんさか。 そしてやっとのこと、会場入り口前までやって来ました。 マックイーンの展示の部分だけ、フラッシュ禁止とか関係なく撮影自体が禁止。(もったいぶり調) なので公式サイトから画像はひっぱり抜いて来ました。 入り口からこの代表的な二作品が並んでて、客を迎えてくれます。 この時点で興奮度は100%を超えて、観光モードで見に来ているおばちゃんを押しのけ最前列に。 ファッション通信などで見ていた時でさえうっとりで、画面にへばりついて見てたものが 現実に本物を拝めるとは、まるで夢の様で、その美しいディテール1つ1つを確かめるように焼き付けました。 向かって左のは2001年の春夏の作品で、上半身のプラスチックパネルを縫い付けた固い感じと 下半身のすこぶる柔らかいフェザーでこんもりと作ったバランスがなんとも美しい。 そして向かって右側はまた対照的にロング&リーンなシルエットで、しかも素材は貝殻という異色ドレス。 これも同じく2001年春夏の作品だと思うんだけど、貝だよ、貝!ってくらい至近距離で見れて衝撃! 最初の2点でさえ、ほんとうに気絶してしまいそうでした。。。 そして口の中に溜まりまくったつばを飲み込み、暗闇を抜けて次のブースに。 ここはちょっと明るい空間になっていて、様々な時代の美ラインジャケットばかり並んでいました。 初期の黒いジャケットは芸術品と言っても過言ではないくらい完成度が高く、 これを20代前半に作っていたかと思うと、天才ってこういうものなのね、と強く思いました。 ジャケットはプラダとかにありがちな平面的なカッティングはほぼ見当たらず、 サヴィルローで修行を積んだマックイーンらしく、バイアスカット(斜めに繋ぐカット)など多用。 へばりついてみているオサレ学生さんが印象的でした。 そしていきなり最初のほうで、こんな歴史的代表作を見せてしまってよいわけ???ってくらい、 マックイーンの代表作がぎっしりつまったブースで、ショーのビデオも流しつつ、激うっとり!!! スーパーモデルのシャローム・ハーロウがショーの最後に出て来て、ロボットにスプレーをかけられると言う 当時そうとう話題になったプレゼンテーションだった1999年春夏の服がドーンとあったりして気絶限界。。。 シャローム・ハーロウのなりきってる表情と細やかな動きが最高に傑作で、 そしてロマンティック全開のショーなのにロボットを使うという相反する設定も好き。 当時、ファッション通信でも大内順子先生が高らかに叫んでいた記憶有り♥ この他にもこのブースは肝となる作品や小物が多く展示されていて1つ1つのアイティムを コレクションの映像を思い出しながらうっとり鑑賞。 フィリップトレーシーが作った 中国庭園をイメージしたヘッドピースは間近でみれて、 その恐ろしく繊細なディテールに白目になりました。 ←発想もそれを形にする技術も天下一品! その後は各ブースに分かれて、マックイーンの代表作が並びます。 気合いを入れて行かないと、その圧倒的な服のパワーに負ける気がして、こちらもかなりのカロリー消費。 突き進んだり、後ずさりしたり、服を相手に生き物と戦っている感じです。 見てわかるように、各ブースは服にあわせて会場セットもがらりと変わり、 神殿っぽくなったり、廃退的な朽ちた木を使ったり、近未来的な空間を作ったり、 それだけでも見てる方としては気分が上がりまくって、スペシャルな演出でした。 そしてマネキンの全てに、着てる服のイメージでマスクが作られてて、その巧妙さも見逃すことはできないクオリティ! マスク1つにしても、よくもまあこんなにアイディアがあるもんだなぁと感心しまくり。 会場の途中には、大きな箱の中をみんなで覗いている場所があったのですが、 まさか見れるとは思ってなかった、ケイトモスのホログラム立体映像でした〜!!!!! 2006年の秋冬のショーで、ドラッグ使用で業界から追放を受けていたケイトモスを護衛しようと 仲良しのマックイーンがショーの最後に、ホログラムでケイトモスを登場させたんですけど、 その幻想的なケイトの動きたるや、まさに生きる芸術品!!! マックイーンのドレスの優雅さと相まって、みんな動くこと無く見つめていました。 ふー、もう作品の迫力が凄過ぎて、酸素ボンベないと息上がっちゃう感じ!!! 最後に登場した、マックイーン生前最後のコレクション2010秋冬は、最近のベストオブベストの呼び声も高く 技術、発想、シルエット、素材、どれをとっても文句のつけどころがない、なんとも美しい作品でした。 こんなの一度は着てみたいよね〜って、ウエストが無理だけど。。。 そして、以下は過去のマックイーンコレクションより、角田の好きだったショーをご紹介。 1996spring/summer ファッション業界に、サヴィルローのテーラード技術を知らしめた、マックイーン初期の作品。 ミニマム全盛期でデコラティブな装飾とは対局だった時代に、英国のテーラーリング技術や素材をふんだんに使い マックイーンのアバンギャルドな感性をミックスさせた斬新なコレクション。 人気のあった英国人スーパーモデル、ステラ・テナントや、オナー・フレイザーを起用してたのも印象深い。 斜めに服をカットしてつなげるバイアスカットは、一瞬で角田を虜にした感じ。 なんとこの時マックイーンは25歳にして、ジバンシーのデザイナーに抜擢されている恐ろしい事実。 天才と比較してしまうと、今35歳の自分が情けなくなるわー。。。 1997spring/summer 大好きだった想い出深いコレクションの1つで、キャットウォークは水の上を歩く演出。 サテンの生地使いも斬新でしたが、なんといってもマックイーン独特なそのシルエットの多用。 襟がズッドーンとアゴまで隠すフォルムは、一瞬でマックイーンとわかる美ライン。 写真左でケイトモスが着用しているレースとガーゼ地のバイアスドレスは、コレクター的に買おうかと思うくらい、 学生時代の角田には衝撃な一品でした。(高くて買えない) まさかの半ケツローライズパンツも、いままで見たことなかったけど、 数年後にはみんなローライズになったのも、マックイーンの影響が少なからずあるのでは?と分析。 1998spring/summer どのブランドもミニマム過ぎちゃってつまんなかった時代に、カッティングで勝負していたマックイーン。 このコレクションも基本はシンプルながら、カットの巧みさでオリジナル感アピール調。 角田は大学を卒業したばかりで、いきなり装苑から4ページもらい 変身ポートレートを発表したのですが、 この時は四パターンの異人に変身したんですけど、宇宙の女神みたいになりたくって、 マックイーンのドレス(写真左のワンピ)を着用しています。 腰が入らなくて、ビリっと切れた気がしましたが、そのまま返却した記憶有り。 (ごめんなさいビアバス様) 1999spring/summer もうこれは伝説のショーなので説明いらずですが、あのマックイーンが超ロマンティック!と話題に。 アンティーク調のレースが登場し、まさかの優しめフリルのオンパレード。 義足のモデルさんを使ってのコレクションと言うこともあり、話題性はもの凄かったです。 先ほどブログでも書いたように、木目感やアンティーク感、ロマンティック感を全面に打ち出しながらも 最後はロボットが動きだし、モデルのシャロームにエアスプレー攻撃で服に色をつけて行くと演出は ファッションのショーを超えて、かなりスペシャルなプレゼンテーションだったと記憶しています。 2001spring/summer 今回の回顧展でも、このコレクションの服が数多く展示されていました。 展示のトップにも飾られていた印象深い赤いドレスや、貝殻の白ドレス、頭に鳥が乗ってるヘッドアクセなど ザ・マックイーンと言わしめる代表作がてんこ盛り光子なショーで、プレゼンテーションも独特! 最後は会場真ん中に置かれたボックスがパタンと開き、中から酸素マスクをした裸体のデブ! そこから何百匹という蛾も飛び出して来たりと、嫌いな人はフリーズしてしまいますが、 またもや歴史に残る素晴らしいコレクションでした。(動画はこちら→2001S/S) 2001autumn/winter マックイーンは秋冬になると毒が盛り過ぎて、TOO MUCHになる場合がおおいので、個人的には軽やかな春夏がすきなんだけど、 この回のショーはメリーゴーランドを配置し、ピエロ悪夢みたいな演出で、服を見せてて面白い。 マックイーンの何が好きかって、やっぱりシルエットとカッティングにつきると思ってて、 そして着れない服もいっぱいあって、どちらかと言うと衣装っぽいんだけど、 こういうアイディアで勝負できるデザイナーさんって数少ないから貴重だったんですよね。 羽、レース、刺繍、どれをとっても美しいです。 2003spring/summer 2001年でグッチグループと仲違いしてしまったようで、ジバンシーのデザインは終了。 そして本人のコレクションもそんなに大ヒットはでてなかったのですけど、久しぶりに返り咲いた2003S/S。 マックイーンが過去にこんなにビビッドな色を、こんなに華やかな素材感で使ったことはなかったので 個人的には凄く好きだった記憶があって、こういう服、写真に撮りたい!と思ってた時期。 レインボードレスの膝下あたりからのグラデーションの美しさといったら、ドレープも素晴らしく、神! ディテールはボロボロにしたりして廃退的なドレスも、不思議なエレガント感漂わせ、大変リッチです。 2006autumn/winter デビューから10年を超えて、着れる服についても考え出して来たころだったみたいで、 前後のショーなどはだいぶ初期からするとおとなしくなってて、バイヤーを意識調。 そのなかでもこのショーは、消費者のニーズとドラマティッくさのバランスが良く、 マックイーンの個性も強く感じつつ、ちゃんと街でも着れる服が混じってて、安定感ある感じ。 英国出身なので、たびたびタータンチェックは使うマックイーンですが、この回の服の完成度ったらやばい! レースとの分量、腰から膝にかけてのラインの美シルエット、味付けのヘッドアクセなど、溜まらん♥ プレゼンテーションは地味になって来たんだけど、服自体の良さが際立っている印象でした。 2007spring/summer 来ました、久々のロマンティックマックイーン全開コレクション!!! マックイーンの研ぎすまされたカッティングとシャープなラインに、こういった薔薇とかのロマ要素を盛るの、 かなり素敵なケミストリーが生まれて大好きなイメージでした。 見たこと無いものを生み出すのって、それはそれは想像を絶する苦労があると思うんだけど マックイーンは自分の好きなフォルム、素材を確立しているせいか、 新たなチャレンジをしても、いきなりの完成度をだしてくるところが凄いところ。 写真真ん中の紫薔薇のすばらしいドレスは、メトロポリタン美術館でもポスターになっていました。 2009autumn/winter 格子柄などのクラシックな布使いをしているんだけど、そこはマックイーンの技術フル稼働でデラックス! 羽だけのドレス(写真左)も会場にあったのですが、金縛りにあったかと思うくらい、素晴らし過ぎて動けず。 コレクション写真などでは細かいディテールは見えなかったのですけど こういう技術の素晴らしさも、会場で見ることができました。 ボンテージ的な解釈をエレガントなドレスに仕立て上げてて、すんばらしい。 2010autumn/winter このコレクションをほぼ最後まで作って、マックイーンは自殺をしてしまったと伝えられています。 一番弟子のサラバートンが引き継いでコレクションだけしんみり行われました。 最後にしてどのファッション関係者もベストコレクションなのでは!?と言うくらいハンパなく美しい!! ほんとこんな素敵な服を作る人が亡くなってしまったのがもったいない〜!!!!! 一番右のゴールドフェザー多用ジャケットの服、脳しんとう起こしそうでした。 40歳かあ、もったいないな〜。。。 念願のマックイーンを見れて、自分はカメラマンだけど、そのストイックな仕事ぶりや コレクションのイメージを作り上げて行くこと、世界観を見れてもの凄く勉強になりました。 何かこれからの活動でこの展示で見たものの感動を活かせたらいいなーと思います。 ↓このビデオは会場内の様子をかなり細かく紹介しています。
by sakkt
| 2011-06-23 23:58
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